令和8年6月13日(土)

第三十三回猫蓑リモート

二十韻「竹咲くや」

石川 葵 捌
竹咲くやけふのひと日の美しく
ひときは高き郭公の声
雅子
制服を少しお洒落に着崩して
千惠子
「カワイイデショウ」世界共通
あづさ
ミナレット月煌々と中天に
分水嶺の水の澄みたる
ゆで加減婆に教はる走り蕎麦
昔小町の首の細さよ
助六に煙管の雨が降り注ぐ
悋気が投げる絹の靴下
ナオ
あやかしと知らずに恋ふる銀狐
樹氷の枝にかかる繊月
水墨画墨の濃淡巧みなり
受付嬢はあくびこつそり
激辛の菓子を摘めば汗滲む
嘘は言へない嘘発見器
ナウ
スフィンクスの謎のつひには明かされて
春の暖炉に読み耽る本
大団円祝ふがごとく花吹雪
暮れかぬる中交はす盃
武井雅子 鈴木千惠子 清水あづさ

二十韻「桟橋に」

本多遊子 捌
桟橋に広げる腕風涼し
遊子
透明バッグ夏きざす頃
坊太
床の間に白磁の壺を飾るらん
文鳥逃げて空つぽの籠
純子
有明月自転車を漕ぐ影のあり
案山子に着せる君のYシャツ
新蕎麦を待つ間今ぞとプロポーズ
発車を告げる汽笛一声
聖堂に練習をする伴奏者
緊張ほぐすおまじなひ掛け
ナオ
ゲレンデを直滑降でまつしぐら
写真の並ぶ暖炉射す月
倫敦の優しき店主懐かしむ
マイケル黒のエナメルを履き
森深き魔女の瞳に魅せられて
含んだお酒交はす唇
ナウ
ゆるゆると太極拳の気の流れ
遍路笠脱ぎひと休みする
花を友夢を未来に繋ぎたし
東をどりへ誘ひ合はせむ
山本坊太 由井 健 近藤純子

二十韻「五月雨や」

五郎丸照子 捌
五月雨や入り江に烟る舫い船
照子
海猫並ぶカフェの軒先
由紀子
油絵のキャンバスぴんと張り終えて
香織
孫の笑顔を走り書きする
白山
復興の願いに加賀の良夜なり
ちょっと気になる柚餅子作る娘
紅葉色帯解きほぐすま白き手
サナトリウムに通う恋人
道化師の技にやんやの小ホール
飛行機雲は西へ西へと
ナオ
玄奘は経を背負って長き旅
茶の花一枝飾る床の間
寒の月池を覗けば鯉眠る
オリンピックが少年の夢
会いたくて遅刻覚悟の遠回り
幼ななじみの黒髪を梳く
ナウ
香りたつ越乃寒梅桝で飲む
初午詣高き鈴の音
石垣を覆い尽くして花大樹
平和な村のうららかな丘
執筆
馬場由紀子 平林香織 由雄白山