リモート連句の場
第三十二回リモート連句会
二十韻「群青の青」
馬場由紀子 捌
- 群青の闇に浮き立つ雪柳
- まちこ
- 甘えるやうに猫の子の声
- 千惠子
- 団扇張る縁のおしやべりきりもなし
- 健
- お茶のお供に皿の漬
- 由紀子
ウ
- 烏賊釣りの竿の先より月上がり
- 健
- 狙つたはずと違ふ男が
- 千
- 寝乱れて肩に一筋後れ髪
- ま
- 付喪神ともなるか手鏡
- 千
- 運命といふシンフォニー始まりて
- 健
- 遠く望める山は眠れる
- 千
ナオ
- 着ぶくれて集団下校の丸き列
- 同
- 名物電車渡る鉄橋
- ま
- 縁結びパワースポット巡り来て
- 同
- ホロ酔ひ気味に君が命と
- 健
- 漱石が月のことなど指南する
- 千
- そそくさと去る秋ぞ悲しき
- ま
ナウ
- そぞろ寒心静かに磨る茶墨
- 由
- 五重塔に光る水煙
- 健
- 末代の弥栄願ふ花の席
- ま
- 離れぬ虻の羽音幽けし
- 由
馬場由紀子 坪井まちこ 鈴木千惠子 由井健
短歌行「まつさらな靴」
山本坊太 捌
- 弥生尽まつさらな靴磨きけり
- 坊太
- 春告鳥の庭に鳴く頃
- 良子
- オレンジを四等分に切り分けて
- 純子
- 南の国へ旅の計画
- 揺子
ウ
- 漕ぎ出でて独り占めする月の海
- 良
- 松手入れする広き肩幅
- 純
- 利酒に酔つた振りしてしなだれる
- 太
- 礼儀作法を学ぶ教室
- 揺
- バチカンに掏摸の兄弟荒稼ぎ
- 良
- ざんげの値打ち今はいかほど
- 揺
- 幸願ひ灯の花を投げ入れて
- 純
- 結び昆布を作る母刀自
- 良
ナオ
- 初売の掛け声ひびく広小路
- 揺
- 気ままに暮らす街の猫たち
- 太
- サイン入り岩合さんの写真集
- 揺
- 嘘か誠か彼と同郷
- 良
- 逢引きは槐の木と決めてをり
- 同
- 軍隊マーチ喇叭響きて
- 揺
- 寒の月もつと遠くへアルテミス
- 太
- 大晦日まで続く朝練
- 純
ナウ
- 漢方薬定期的にと通販で
- 同
- グルテンフリー旨み変はらず
- 揺
- 花明り帛紗さばきもあざやかに
- 同
- 紙風船を飛ばす少年
- 良
山本坊太 本屋良子 近藤純子 上原揺子
二十韻「蘖や」
五郎丸照子 捌
- 蘖や幾千年の屋久の森
- 照子
- 聳ゆる岩に風光る頃
- 香織
- 立ち乗りのあとのぶらんこ土載せて
- 遊子
- トランペットを朝な夕なに
- 閑坐
ウ
- ロケットで飛行士が見る夏の月
- 白山
- 露台でLINE遠距離の恋
- 照
- 好きだから後悔なんかするもんか
- 織
- 手指の消毒今も忘れず
- 遊
- チャップリン『モダン・タイムス』笑えない
- 坐
- 一国締める海峡の紐
- 山
ナオ
- 寒犬の瓦礫の山をさまよいて
- 照
- 告解室に入る毛衣
- 織
- 礼状のつもりで書いたこの手紙
- 遊
- 太宰の生家彼と行きたい
- 坐
- 永遠の愛を月夜に誓う岸
- 織
- 瑠璃の高杯新酒なみなみ
- 照
ナウ
- 柔らかく香り楽しむ土瓶蒸し
- 山
- 三人掛の椅子に老僧
- 遊
- 花篝地頭声を響かせて
- 坐
- ゆっくり歩む春の堤を
- 山
平林香織 本多遊子 藤原閑坐 由雄白山