リモート連句の場
第十七回猫蓑会リモート
二十韻「こつんと弾む」
岩崎あき子 捌
- 団栗のこつんと弾む石畳
- あき子
- 名残の月へさそふ駒下駄
- 徹心
- 馬肥ゆるダイエットなど気にせずに
- 洋子
- 漫画取り合ふ兄と弟
- 敦子
ウ
- 制服は短い丈が好みです
- 暁巳
- 電光のごと盗まれたキス
- あ
- ライバルに譲つてやつた玉の輿
- 心
- ご先祖様は清水次郎長
- 洋
- 五輪塔冬の燕が旋回し
- 敦
- カメラ構へる着ぶくれの記者
- 巳
ナオ
- トレッキング山の魅力にとりつかれ
- あ
- 荒れ地耕し植ゑる蕎麦種
- 心
- 移住して思ひがけない人と会ひ
- 洋
- 浴衣はだける湯上がりの肌
- 敦
- 夏の霜逃避行の影長く伸び
- 巳
- 三陸の海旨き弁当
- あ
ナウ
- 酒蔵の売りは吟醸呑みくらべ
- 心
- 有線放送のどらかな声
- 洋
- 花吹雪過去と未来の真ん中に
- 敦
- ビルの上にも蜜蜂の舞ふ
- 巳
連衆 佐藤徹心 大島洋子 武井敦子 島村暁巳
二十韻「丹波栗」
鈴木了斎 捌
- 丹波栗都の孫へ送りけり
- 白山
- 虫の音高き土間の片隅
- 良子
- 街々へ十三夜月照り映えて
- 了斎
- 行列の先確かめにゆく
- 円水
ウ
- 久々に見るハワイアンキルト展
- 志保子
- 煉瓦倉庫に人のあふるる
- 良
- 軌道跡日焼の子らの走り抜け
- 仝
- 氷いちごがスカートに落つ
- 水
- みみたぼを茜の色に染める君
- 仝
- 路傍に咲いたやうな初恋
- 斎
ナオ
- 寒鰤の半身を返す嫁ぎ先※
- 山
- 熱燗三合晩酌にする
- 水
- 屋台には叩き手を待つ大太鼓
- 斎
- 鹿の子絞りの粋な鉢巻
- 志
- 月見舟遠来の客待ち兼ねて
- 良
- 翁に見せむ宮城野の萩
- 山
ナウ
- 秋蝶に亡き母来たと思うたが
- 斎
- 布の鞄に遊ぶ人形
- 志
- 鄙びたる校舎を囲む花大樹
- 水
- ともがらの呼ぶ午後のうららか
- 志
連衆 由雄白山 本屋良子 植田円水 北龍志保子
※ナオ折立:北陸には、新婦の実家が結婚後の歳暮に嫁ぎ先へ寒鰤一尾を贈り、嫁ぎ先が返礼にその半身を新婦側へ贈り返す風習がある。
※ナオ折立:北陸には、新婦の実家が結婚後の歳暮に嫁ぎ先へ寒鰤一尾を贈り、嫁ぎ先が返礼にその半身を新婦側へ贈り返す風習がある。