リモート連句の場
第二十五回猫蓑リモート
高層の窓
平林 香織 捌
- 高層の窓にも春の動きけり
- 香織
- うぐひす餅にお薄一服
- あき子
- 花筏水面きらめく濠にゐて
- 良子
- 記念写真の家族増えたる
- あやめ
- にぎやかに誘ひ合はせて月の宴
- 揺子
- 靴音乱れ虫の声止む
- あき子
ウ
- 後れ毛の揺れる項のそぞろ寒
- 織
- 手練手管に騙し騙され
- 揺
- 御しがたき女なれどもめんこいぞ
- 良
- サラブレッドの砂煙あげ
- 織
- アンカーはガッツポーズでテープ切る
- 子
- 里の神楽に鬼を招来
- 良
- 月照らす雪山の峰連なりて
- 織
- 枕草子白ワイン注ぎ
- 揺
- 振袖にパンタロン履く大学生
- 良
- 文化情報乗せる探査機
- 織
- 駅長の丹精の薔薇とりどりに
- 子
- 定斎売は今日も旅する
- 揺
岩崎あき子 本屋良子 紫紅あやめ 上原揺子
鳥のあいうえお
鵜飼桜千子 捌
- 囀や鳥には鳥のあいうえお
- 桜千子
- はや咲き初める薄紅の梅
- 志保子
- 納戸より雛の飾りを取り出して
- 徹心
- 猫の欠伸をもらふ休日
- 由紀子
- 尺八の音は月光に溶けてゆき
- 昌子
- 奥の庵に結ぶ瓢箪
- 由
ウ
- どぶろくを過ぎて親方赤ら顔
- 同
- 食前毎にはかる血圧
- 桜
- ハーレーを飛ばし死海を一周し
- 志
- 融通きかぬ彼女宥める
- 由
- 偶然てふ神が仕掛けた甘い罠
- 心
- 愉楽の後のしんしんと雪
- 桜
- 月の夜は知らぬ間細る毛糸玉
- 心
- えぼし麻呂くんダンス得意で
- 昌
- 教へ子がオリンピックで優勝し
- 由
- 黒糖羹をゆつくりと錬る
- 志
- 七色の彩を放ちて花氷
- 桜
- 涼風誘ふ青竹の垣
- 由
北龍志保子 佐藤徹心 馬場由紀子 原 昌子
雲の端から
鈴木千惠子 捌
- 春の空雲の端からやはらぎぬ
- 千惠子
- 竜天に昇る山の頂
- 濤声
- 草餅を頬張りながら旅に出て
- をんみ
- 子犬ころころ追ひかけてくる
- 円水
- 右左メトロノームの窓の月
- 水
- 運動会で踊るソーラン
- 結衣
ウ
- 大もりのしんまいぜんぶたひらげて
- 泰就
- 酔つた足元天狗茸踏む
- カノン
- いつまでも家事が苦手な御令嬢
- 声
- 乳母が代筆美文恋文
- み
- マッチングアプリに透明人間も
- 声
- 裸眼で見れば月おぼろなる
- カ
- 祇園社の花も盛りと咲き誇り
- み
- 明日はスイスに戻る竹秋
- 声
- コスプレで世界各地の友が出来
- 水
- 化学繊維に敏感な皮膚
- み
- 寝癖までぴよこりと飛んで大旦
- 就
- 幸せ願ひ初神籤引く
- 衣
小原濤声 福澤をんみ 植田円水 植田結 植田泰就 橋元カノン