リモート連句の場
第九回猫蓑会リモート
二十韻「きらきらと」
箭内敏枝 捌
- きらきらと雨待つ麦の穂波かな
- 敏枝
- 雲峰の間を抜ける飛行機
- 桃胡
- 兄弟のピアノ連弾きりもなし
- 美代子
- 追ひかけつこはいつも引き分け
- 裕介
ウ
- 泣顔の涙を隠す暗がりに
- 了斎
- 並ぶ枕へほのと月代
- 胡
- もつと早く来てと抓(つね)られ秋の宿
- 斎
- この身の冷えてやや震へだし
- 介
- かき回す犬猫のゐて和みます
- 枝
- 優勝カップ光るリビング
- 代
ナオ
- 新大陸の航路描かれてゐる海図
- 介
- 子等へ伝へん毛糸編む柄
- 胡
- 月明の酒は熱燗屋台にて
- 代
- 美空ひばりの恋歌が好き
- 斎
- ごめが飛ぶあなたも飛んでこないかな
- 仝
- いやはや肥えたうちの母ちやん
- 枝
ナウ
- かるかんをお土産にする薩摩武士
- 胡
- 温んだ水でいつも歯磨き
- 代
- 雪隠の小窓の外を花ふぶく
- 胡
- なかば霞むか遠浅の海
- 介
連衆 裏谷桃胡 山田美代子 和田裕介 鈴木了斎
二十韻「豌豆や」
鈴木千惠子 捌
- 豌豆や地球の自転まねる蔓
- 千恵子
- どこへ行くのと問ふは夏蝶
- 桜千子
- がま口の数ふる小銭きりもなし
- 健
- ジャスミンティーを揺り椅子に飲む
- 未悠
ウ
- 探偵は隅の老人窓の月
- 荷夕
- 浮気調査は夕霧の中
- 千
- 禁断の実と知りながら林檎食べ
- 桜
- 貨物列車に豚は満載
- 健
- 目的を教へられずに兵士征く
- 悠
- うちの秀才ゲームチェンジャー
- 夕
ナオ
- 芭蕉忌にゆるりゆるりと墨を磨る
- 千
- 寒九の水に月の映りて
- 桜
- ゴンドラの唄を聴きつつ渡し舟
- 健
- ワクチン接種証明を持ち
- 悠
- 免疫のない男書く初心な文
- 夕
- 京の舞妓の里は茨城
- 千
ナウ
- 乾杯は金の雫といふワイン
- 桜
- 鈴を転がすやうな囀
- 健
- 長調の歌曲独唱花ふぶく
- 悠
- 春のスカーフふはり肩先
- 夕
連衆 鵜飼桜千子 由井健 棚町未悠 西田荷夕
二十韻「朝掘りの」
高山鄭和 捌
- 朝掘りの筍飯や湯気のぼる
- 鄭和
- 厨に響く郭公の声
- 雅子
- 全自動運転車など走るらん
- 敦子
- 同級生に出した絵手紙
- 志保子
ウ
- 月明しジャングルジムに残る子ら
- 美智子
- 行くか行かぬか穴惑する性
- 敦
- 秋の宿こんな私は他人の妻
- 雅
- ブェノスアイレス街角のカフェ
- 敦
- 採譜する教師古楽器マニアらし
- 智
- 泪拭はで語る越し方
- 和
ナオ
- 夜咄の茶事に万端心して
- 志
- メガくつさめに砕け散る月
- 敦
- 大漁旗立てて港へ帰る船
- 雅
- 女たむろし猫もたむろす
- 仝
- ブレーキの効かぬあいつに惚れたバカ
- 敦
- 鎌倉殿は時に助平
- 鄭
ナウ
- 高みより青きまほらを眺むれば
- 志
- 霞立ちたる北の島々
- 智
- 花衣祖母の手触り残りけり
- 雅
- シロツメクサで作る冠
- 敦
連衆 武井雅子 武井敦子 北龍志保子 聖成美智子