令和7年10月13日(月)

第二十九回リモート連句

神おはす

奥野美友紀 捌
秋祭猿の顔した神おはす
遊子
新酒交はせる爺様七人
敏枝
十三夜当日券は売り切れて
美友紀
リュックサックの長すぎる紐
口笛を吹きつつ下る屋敷町
ごきげんようの声も麗し
エレベーター「開」を押して美女を待つ
展覧会の海を行く船
氷水食べきれぬまま融けてゆき
黒と緑の甚平を着て
ナオ
若僧と児ら戯れる寺の庭
奨学生が配る新聞
万博の終はれば遠距離恋愛に
婚姻制度国によりけり
鴨眠る渡良瀬川に月も出て
虫歯痛くておでん丸呑み
ナウ
両の手にあふれんばかり貰ふ飴
大路を抜けて競技場へと
花吹雪夢に四十の頃の母
家族の揃ふうららかな午後
執筆
本多遊子 箭内敏枝

陶の里

五郎丸照子 捌
行く秋や唐臼響く陶の里
照子
栗名月のよぎる煙突 
香織
肌寒のコンビナートに音もなし
凡単
次世代車自動運転
白山
お巡りさん三か国語をぺらぺらと
金髪娘に心奪われ
AIも恋の涙を流す時
好きか嫌いか零か壱にて
寄せ鍋で酌みあう地酒同期会
細雪舞う天の橋立
ナオ
龍神にお呼ばれをして奥宮へ
インバウンドから税金を取れ
ゴールデンカルーセルには長い列
指をからめてじっと見つめて
大屋根に浴衣が似合う君と月
杏子の篭をあした届けん
ナウ
お濠端ちんちん電車の走る音
わがもの顔で遊ぶ猫の仔
花の香の山路たどれば匂いたつ
園児がはしゃぐ春のぬかるみ
平林香織 中村凡単 由雄白山