リモート連句の場
第二十九回リモート連句
神おはす
奥野美友紀 捌
- 秋祭猿の顔した神おはす
- 遊子
- 新酒交はせる爺様七人
- 敏枝
- 十三夜当日券は売り切れて
- 美友紀
- リュックサックの長すぎる紐
- 遊
ウ
- 口笛を吹きつつ下る屋敷町
- 枝
- ごきげんようの声も麗し
- 紀
- エレベーター「開」を押して美女を待つ
- 遊
- 展覧会の海を行く船
- 枝
- 氷水食べきれぬまま融けてゆき
- 紀
- 黒と緑の甚平を着て
- 遊
ナオ
- 若僧と児ら戯れる寺の庭
- 枝
- 奨学生が配る新聞
- 紀
- 万博の終はれば遠距離恋愛に
- 遊
- 婚姻制度国によりけり
- 紀
- 鴨眠る渡良瀬川に月も出て
- 枝
- 虫歯痛くておでん丸呑み
- 遊
ナウ
- 両の手にあふれんばかり貰ふ飴
- 枝
- 大路を抜けて競技場へと
- 紀
- 花吹雪夢に四十の頃の母
- 遊
- 家族の揃ふうららかな午後
- 執筆
本多遊子 箭内敏枝
陶の里
五郎丸照子 捌
- 行く秋や唐臼響く陶の里
- 照子
- 栗名月のよぎる煙突
- 香織
- 肌寒のコンビナートに音もなし
- 凡単
- 次世代車自動運転
- 白山
ウ
- お巡りさん三か国語をぺらぺらと
- 織
- 金髪娘に心奪われ
- 照
- AIも恋の涙を流す時
- 山
- 好きか嫌いか零か壱にて
- 単
- 寄せ鍋で酌みあう地酒同期会
- 照
- 細雪舞う天の橋立
- 織
ナオ
- 龍神にお呼ばれをして奥宮へ
- 単
- インバウンドから税金を取れ
- 山
- ゴールデンカルーセルには長い列
- 織
- 指をからめてじっと見つめて
- 照
- 大屋根に浴衣が似合う君と月
- 山
- 杏子の篭をあした届けん
- 単
ナウ
- お濠端ちんちん電車の走る音
- 輝
- わがもの顔で遊ぶ猫の仔
- 織
- 花の香の山路たどれば匂いたつ
- 単
- 園児がはしゃぐ春のぬかるみ
- 山
平林香織 中村凡単 由雄白山