リモート連句の場
第十六回猫蓑会リモート
半歌仙「門火かな」
石川葵 捌
- 一瞬の静寂生まるる門火かな
- 葵
- 月を招かむ東の峰
- 純子
- 栗飯を釜にほつこり炊き上げて
- 暁巳
- 兄弟喧嘩ちよつとお預け
- をんみ
- 今後とも行方気になる名人戦
- 揺子
- 鷺草活ける床の竹筒
- 純
ウ
- ごきぶりがゐたと背中に齧り付き
- 巳
- 十年越しで狙つてた彼
- み
- 念のため出会ひアプリは続けよう
- 揺
- 内緒で僧は鬘購ふ
- 葵
- 紫禁城月下の影の冴え冴えと
- 仝
- 平和を願ひ浸かる冬至湯
- 純
- 飛入りでゲイプライド※に参加して
- 揺
- 腰痛こらへ坂道を行く
- み
- 緩やかに年を重ねて孫数多
- 純
- 山の笑ひを犬は聞くなり
- 揺
- 花筏渦の変はり目おもしろく
- 巳
- 友と乾杯春雨の窓
- み
連衆 近藤純子 島村暁巳 福澤をんみ 上原揺子
※LGBTプライドの意
※LGBTプライドの意
二十韻「神の道」
鈴木了斎 捌
- 真ん中は神の道なり秋茜
- 了斎
- 一面蕎麦の花の満開
- 転石
- 十六夜の大黒柱磨くらん
- あき子
- ぐづる赤子をあやしあぐねる
- 志保子
ウ
- アンパンマンばいきんまんもTシャツに
- 銀河
- 尾を曳くやうに飛ぶ打球音
- あ
- 旅に出る連れは賢治と朝風と
- 河
- 酒少々で足りる人生
- 石
- お決まりのヒグマ警報今日もまた
- 志
- キラウエア山にいつもマグマが
- 河
ナオ
- 舵を切る漁師は天の星を見て
- 石
- 板に刻んだ絵文字解読
- あ
- お宝は家の蔵から現るる
- 河
- 汗の逢引いつも暗がり
- 斎
- 帰るのはいややとすねる夏の月
- 志
- 機織る音のひびく川沿ひ
- 仝
ナウ
- 巴里目指す少年達のブレイキン
- あ
- 手話うららかに奔放な夢
- 仝
- あの山の先まで花を咲かせたい
- 石
- 影軽やかに青き踏む人
- あ
連衆 林転石 岩崎あき子 北龍志保子 中谷銀河
半歌仙「寝返りて」
佐藤徹心 捌
- 寝返りて夢の続きへ萩の風
- 佐藤徹心
- 生姜を刻むキッチンの音
- 小原濤声
- 名優は三日月の眉描くらん
- 平林香織
- 膝を崩して珈琲を飲む
- 室房子
- 農道をそれぞれに牛帰り行く
- 箭内敏枝
- 麦わら帽子引つかかる枝
- 織
ウ
- 初めての油絵に画く皐月富士
- 声
- 教授の指導やたら細かく
- 仝
- 彼のためミニスカートをはいたのに
- 房
- 蓼食ふ虫も恋もすきずき
- 声
- 背の灸我慢比べの男ぶり
- 枝
- 別府地獄のあとに一献
- 声
- ミネソタは湖も凍結してゐます
- 房
- 益々黒き寒鯉の影
- 心
- 冬月に交響曲は二楽章
- 声
- 待ち遠しきは次の引越
- 枝
- 折紙と花に囲まれ祝ふ街
- 房
- 母子うららにホップステップ
- 執筆
連衆 小原濤声 平林香織 室房子 箭内敏枝
二十韻「仁王立」
大島洋子 捌
- 今日もまた仁王立する残暑かな
- 洋子
- 学園通り酔芙蓉咲く
- 敦子
- 居待月香を燻らせ招くらん
- 照子
- 折紙細工飾る玄関
- 千惠子
ウ
- 代々のこけし人形譲り受け
- 白山
- 首のすわりのいまいちな吾子
- 洋
- 入籍は洗礼式を終へてから
- 敦
- ボランティアには力持ちゐて
- 照
- ゆるキャラが餅を搗いてる商店街
- 千
- 冬至南瓜はもう喰ひ飽きた
- 山
ナオ
- 西郷どんも好む大島紬なり
- 洋
- 赤のリードで犬のお散歩
- 敦
- 裏参道厚き恋文手渡され
- 照
- 洗ひ髪して待ち合はせする
- 千
- 七賢と酒酌み交はす夏の月
- 山
- 風わたりゆく水墨の山
- 洋
ナウ
- 宝物隠した場所がわからない
- 敦
- 海苔干す人の遠く近くに
- 照
- 鈍行のひと駅ごとの花の旅
- 千
- 蝶のゆらゆら天下泰平
- 山
連衆 武井敦子 五郎丸照子 鈴木千惠子 由雄白山