リモート連句の場
第十九回猫蓑会リモート
二十韻「六根の塵」
鈴木了斎 捌
- 六根の塵へ二月の光かな
- 了斎
- 淡雪解くる石仏の列
- 暁巳
- くるくると春の日傘を児に見せて
- 敏枝
- 好きなナッツを散らしクッキー
- 純子
ウ
- 天窓の夏の霜から猫の影
- 健
- 病人のゐる家はここです
- 斎
- せめて背と胸を拭つてやれるだけ
- 巳
- 君のお酌できつとまた飲む
- 健
- 角の立つアイラモルトはスモーキー
- 純
- 荒くれてゐる捕鯨船員
- 枝
ナオ
- 役者へも隙間風吹く芝居小屋
- 健
- 赤城の山か利根の河原か
- 斎
- 古里のあの平橋の架かる村
- 枝
- すぐに野分が来ると大声
- 巳
- 芸術祭裸婦とマッチョで盛り上がる
- 健
- ティファニーリング受け取つて月
- 純
ナウ
- 夏果ての砂にまみれて抱きあへば
- 斎
- 沖行く舟の帆が遠くなり
- 巳
- 壁白き天守へ寄する花の波
- 枝
- 笛の音を聞く午後のうららか
- 純
連衆 島村暁巳 箭内敏枝 近藤純子 由井 健
二十韻「潮の香のする」
西田 荷夕 捌
- 春江を潮の香のするところまで
- 荷夕
- 浮かれた猫の残す足跡
- 千惠子
- 土筆野の似顔絵少しゆがみゐて
- 志保子
- イイネ本音はいいねどうでも
- あづさ
ウ
- 凍月に禰宜の拍手空気裂く
- あき子
- 老いも若きもかんじきを脱ぎ
- 夕
- 津軽には太宰の愛した女達
- 千
- 人力車にてプロポーズする
- 志
- このごろは耳が遠くて医者通ひ
- さ
- 魔法使ひの秘伝薬湯
- あ
ナオ
- 透明なプラスティックの浮いてこい
- 夕
- ジャージの胸に名前大きく
- 千
- 図書館のいつもの席で舟を漕ぐ
- あ
- 霧が晴れたらなんと異世界
- さ
- ぼろ市にガレを見つける月今宵
- 志
- むかごの飯に到来の酒
- 夕
ナウ
- 智恵あると物をくるるがよき友で
- 千
- かへるのうたを口ずさみつつ
- 志
- 贅沢は庭で花見ができること
- さ
- 段々畑うららかな風
- あ
連衆 鈴木千惠子 北龍志保子 清水あづさ 岩崎あき子
二十韻「御朱印」
大島洋子 捌
- 御朱印に筆の踊るや春一番
- 洋子
- いぬふぐり咲く巡礼の路
- 徹心
- 雛の宴手作り菓子をお土産に
- 香織
- カメラ映えする店の玄関
- 敦子
ウ
- 被災地で見るほど寒き能登の月
- 白山
- 塗師の息の白くはずみぬ
- 洋
- 高額の売却済みの札ばかり
- 心
- パワーカップル新婚の家
- 織
- 弁当は母さん譲り卵焼き
- 敦
- 光る刀身孫六の銘
- 山
ナオ
- 浪音の耳にやさしき夏の川
- 洋
- 襷がけして網戸張替へ
- 心
- 兄嫁に付け文をする法事あと
- 織
- 松茸山は今年豊作
- 山
- 月射せば透明になる観覧車
- 敦
- おくれ蚊の刺す稚のほつぺた
- 洋
ナウ
- ブルドッグトートバッグに入れられて
- 織
- 決めてとなつた棒銀の技
- 敦
- 樽酒に小槌振るつて飛花の宴
- 心
- おぼろおぼろに天下泰平
- 山
連衆 佐藤徹心 平林香織 武井敦子 由雄白山