令和7年4月12日(土)

第二十六回リモート連句

緑立つ

岩崎あき子 捌
大寺のうぐひす張りや緑立つ
あき子
薫香たゆたひそよぐ春風 
昌子
のどらかにパウンドケーキ焼きあげて
美友紀
時はかるやう友人の来る   
敏枝
屋上の月見の宴もささやかに
白山
腰のあたりで揺れる瓢箪
新絹に色あでやかな帯を締め
浮名流した人と知りつつ
すつぴんでいつも洗濯子だくさん
教科書の詩をそらで覚える
登山するハーケンの先昼の月
川原で釣つた鮎の塩焼
みんなして八木節唄ひ興に乗る
寄り添ひ笑ふ道祖神様
石段を上り下りする陸上部
祖母母私手織り着倒す
懐かしく近況を知る花便り
未来の夢を描きうららか
原 昌子 奥野美友紀 箭内敏枝 由雄白山 由井 健

汁も菜も

鈴木千惠子 捌
汁も菜も菊菜で済ます夕餉かな
千惠子
猫の子ふいに膝にとびのる
純子
夏隣るせせらぎに魚走るらん 
由紀子
小銭をぽいと投げ入れる人
遊子
月蒼く山並近く仰ぎゐて
良子
彼を慕うて鳴らすひよんの実
盃に未練ころがす濁酒
腹の痛みを治す漢方
大聖堂パイプオルガン背に浴び
地下に潜つた革命の志士
ナオ
浮いてこい赤いお船も人形も
浜辺に星の砂を探して
家鳩はクックルクーと君が好き
既婚未婚とすぐに聞く奴
母を訪ふ雪の故郷月の道
斜陽館にて羊羹を売る
ナウ
沈金の技伝へたる愛弟子に
風と土とを読める老農
花惜しむ生かされてゐるこの命
絵凧字凧の上がる大空
近藤純子 馬場由紀子 本多遊子 本屋良子