リモート連句の場
第二十八回リモート連句
ピーマン切る
小原濤声 捌
- ピーマン切る浮世へいざと思ひきる
- 濤声
- 秋の初風撫ぜる髭面
- 健
- 山間に月天心の高くして
- あき子
- 隣町へと続く電線
- 純子
- 暑いねと声の溢るる狭い路地
- 徹心
- ひと潜りして触れる海亀
- 執筆
ウ
- 手捻りの大皿少し歪ませり
- 健
- 不協和音のジャズの流れて
- 声
- ことさらに優しい男たぶん嘘
- 純
- 道化師まねて君は綺麗だ
- あ
- 待ちかねた新婚旅行イタリアへ
- 声
- げに恐ろしき昼の幽霊
- 心
- 外套の襟立て祈る摩崖仏
- あ
- 丹頂鶴の過ぎる月見ゆ
- 健
- 音もなく気動車走る廃村を
- 心
- 漱石全集並ぶ古書店
- 健
- 杉玉を掲げ二代目花宴
- 純
- 春風邪治す薬湯に入る
- 声
ナオ
- 椿餅カフェの格子に光透く
- 純
- 小指の赤い糸を巻取り
- あ
- 五十年尻に敷かれて発酵す
- 声
- 住み心地良き古井戸の底
- 心
- 何もかも洗ひたくなる皐月晴
- あ
- 水平線にヨット消えゆく
- 健
- 白煙を抜けてロケット衛星に
- 心
- 八雲の描く夢の世界へ
- 純
- お土産は事の欠かない城下町
- 健
- パートの時給かなり色良し
- 声
- 名月に家族全員陶酔す
- あ
- 締めは定番初なめこ汁
- 純
ナウ
- 涼を運ぶ翔平どこまでも
- 純
- 金の卵と囃されし頃
- 心
- 占ひに上々吉のご宣託
- あ
- あやとり遊び姉妹楽しげ
- 健
- 花の茣蓙一休みする鼓笛隊
- 心
- 推しの名記す遍路笠行く
- 純
由井 健 岩崎あき子 近藤純子 佐藤徹心
こころは海
上原揺子 捌
- 秋立つや未だこころは海にあり
- 千惠子
- 白波に乗り砕け散る月
- 鄭和
- こぼれ萩一同集ひ宴たけて
- 白山
- 環境保全資源回収
- 揺子
ウ
- 自販機の下に小銭が落ちてゐる
- 千
- スマホなければ始まらぬ恋
- 山
- 片思ひ天神様へ願掛けに
- 和
- 少子高齢対策も尽き
- 揺
- 冬富士に不死の薬の隠されて
- 千
- 蠅凍ててなほ手足すりをる
- 和
ナオ
- ロボットと明るく変へる近未来
- 山
- カズレーザーの婚は電撃
- 和
- 愛ゆゑに単身赴任切り上げて
- 揺
- 君に似合ふと贈る芭蕉布
- 千
- 赤瓦さやかに照らす夏の月
- 山
- コンビニチキン鳶に取られた
- 和
ナウ
- ろくろ首首長くして思案顔
- 和
- 遠いところにしやぼん玉吹く
- 千
- 散る花は甍かすめて降りそそぎ
- 揺
- 翁媼を包む陽炎
- 山
髙山鄭和 由雄白山 上原揺子