令和7年2月11日(火)

第二十五回猫蓑リモート

高層の窓

平林 香織 捌
高層の窓にも春の動きけり
香織
うぐひす餅にお薄一服
あき子
花筏水面きらめく濠にゐて
良子
記念写真の家族増えたる
あやめ
にぎやかに誘ひ合はせて月の宴
揺子
靴音乱れ虫の声止む
あき子
後れ毛の揺れる項のそぞろ寒
手練手管に騙し騙され
御しがたき女なれどもめんこいぞ
サラブレッドの砂煙あげ
アンカーはガッツポーズでテープ切る
里の神楽に鬼を招来
月照らす雪山の峰連なりて
枕草子白ワイン注ぎ
振袖にパンタロン履く大学生
文化情報乗せる探査機
駅長の丹精の薔薇とりどりに
定斎売は今日も旅する
岩崎あき子 本屋良子 紫紅あやめ 上原揺子

鳥のあいうえお

鵜飼桜千子 捌
囀や鳥には鳥のあいうえお
桜千子
はや咲き初める薄紅の梅
志保子
納戸より雛の飾りを取り出して
徹心
猫の欠伸をもらふ休日
由紀子
尺八の音は月光に溶けてゆき
昌子
奥の庵に結ぶ瓢箪
どぶろくを過ぎて親方赤ら顔
食前毎にはかる血圧
ハーレーを飛ばし死海を一周し
融通きかぬ彼女宥める
偶然てふ神が仕掛けた甘い罠
愉楽の後のしんしんと雪
月の夜は知らぬ間細る毛糸玉
えぼし麻呂くんダンス得意で
教へ子がオリンピックで優勝し
黒糖羹をゆつくりと錬る
七色の彩を放ちて花氷
涼風誘ふ青竹の垣
北龍志保子 佐藤徹心 馬場由紀子 原 昌子

雲の端から

鈴木千惠子 捌
春の空雲の端からやはらぎぬ
千惠子
竜天に昇る山の頂
濤声
草餅を頬張りながら旅に出て
をんみ
子犬ころころ追ひかけてくる
円水
右左メトロノームの窓の月
運動会で踊るソーラン
結衣
大もりのしんまいぜんぶたひらげて
泰就
酔つた足元天狗茸踏む
カノン
いつまでも家事が苦手な御令嬢
乳母が代筆美文恋文
マッチングアプリに透明人間も
裸眼で見れば月おぼろなる
祇園社の花も盛りと咲き誇り
明日はスイスに戻る竹秋
コスプレで世界各地の友が出来
化学繊維に敏感な皮膚
寝癖までぴよこりと飛んで大旦
幸せ願ひ初神籤引く
小原濤声 福澤をんみ 植田円水 植田結 植田泰就 橋元カノン