リモート連句の場
第二十二回猫蓑リモート
二十韻「二番星指す」
由井 健 捌
- 風の盆二番星指す差手かな
- 健
- 胡弓響きて浮かれ出る月
- 桜千子
- 秋蚊帳の揺るるともなく動くらん
- 了斎
- 犬の寝息にシーと目配せ
- 鄭和
ウ
- 海外へ長期旅行を計画し
- 照子
- 多忙重なり恋もそこそこ
- 健
- ブーケトスナイスキャッチの三十歳
- 桜
- 冬の苺がひそと色づく
- 斎
- 特許取り雪見酒にて前祝
- 和
- 市場株価に一喜一憂
- 照
ナオ
- 休火山時々世間驚かす
- 健
- 西の雲より弥陀の近づき
- 桜
- 夢にまた迦陵頻伽の舞ふを見て
- 斎
- 君こそまさに大和撫子
- 和
- 月涼し岸に重なる影ふたつ
- 照
- 北斎描く浮世絵の妙
- 健
ナウ
- 浅草を知り尽くしたる人力車
- 桜
- 日永を過ごす外つ国の客
- 斎
- 花の香を溢るるばかり両の掌に
- 和
- 若駒遊ぶゆるやかな丘
- 照
鵜飼桜千子 鈴木了斎 髙山鄭和 五郎丸照子
二十韻「梨の重さ」
鈴木千惠子 捌
- 水の名を持ちたる梨の重さかな
- 千惠子
- 厨の窓に鳴ける馬追
- あき子
- 望月夜旅の宿から便りして
- 濤声
- 天然木に座り安らふ
- 転石
ウ
- 防災の備蓄のチェック忘れずに
- あ
- 付き合ふ男切れることなく
- 千
- 口先はやたら優しげ怒り肩
- 石
- トーチソングを唄ふジャズ歌手
- 声
- 鉄道もアイスも横浜発祥で
- 千
- 青蔦の這ふ丘の洋館
- あ
ナオ
- 執拗に黒猫なでる占ひ師
- 声
- ダウニング街政変の相
- 石
- 経理部の裏の帳簿を告発す
- あ
- 酒を飲んだらほろり秘密が
- 千
- 偏見に耐えたる恋に月凍つる
- 石
- かき抱き合ふ寒濤の崖
- 声
ナウ
- 引き上げた網にかかつた観音像
- 千
- 散歩するなら鐘霞む頃
- 声
- 花衣TOKIOの渦に紛れ込む
- あ
- 全校生徒野がけ山かけ
- 石
岩崎あき子 小原濤声 林 転石