令和6年8月10日(土)

第二十二回猫蓑リモート

二十韻「二番星指す」

由井 健 捌
風の盆二番星指す差手かな
胡弓響きて浮かれ出る月
桜千子
秋蚊帳の揺るるともなく動くらん
了斎
犬の寝息にシーと目配せ
鄭和
海外へ長期旅行を計画し
照子
多忙重なり恋もそこそこ
ブーケトスナイスキャッチの三十歳
冬の苺がひそと色づく
特許取り雪見酒にて前祝
市場株価に一喜一憂
ナオ
休火山時々世間驚かす
西の雲より弥陀の近づき
夢にまた迦陵頻伽の舞ふを見て
君こそまさに大和撫子
月涼し岸に重なる影ふたつ
北斎描く浮世絵の妙
ナウ
浅草を知り尽くしたる人力車
日永を過ごす外つ国の客
花の香を溢るるばかり両の掌に
若駒遊ぶゆるやかな丘
鵜飼桜千子 鈴木了斎 髙山鄭和 五郎丸照子

二十韻「梨の重さ」

鈴木千惠子 捌
水の名を持ちたる梨の重さかな
千惠子
厨の窓に鳴ける馬追
あき子
望月夜旅の宿から便りして
濤声
天然木に座り安らふ
転石
防災の備蓄のチェック忘れずに
付き合ふ男切れることなく
口先はやたら優しげ怒り肩
トーチソングを唄ふジャズ歌手
鉄道もアイスも横浜発祥で
青蔦の這ふ丘の洋館
ナオ
執拗に黒猫なでる占ひ師
ダウニング街政変の相
経理部の裏の帳簿を告発す
酒を飲んだらほろり秘密が
偏見に耐えたる恋に月凍つる
かき抱き合ふ寒濤の崖
ナウ
引き上げた網にかかつた観音像
散歩するなら鐘霞む頃
花衣TOKIOの渦に紛れ込む
全校生徒野がけ山かけ
岩崎あき子 小原濤声 林 転石