リモート連句の場
第二十三回猫蓑リモート
二十韻「残菊や」
鈴木千惠子 捌
- 残菊や茶席の侘びのもの言はず
- 白山
- 連子の窓にのぞく繊月
- 香織
- 虫時雨児はハモニカの曲和して
- 千惠子
- 横断歩道一列で行く
- 揺子
ウ
- 羽越線右手にずつと日本海
- 織
- 北の別れに雪のしんしん
- 山
- ひとり飲む新たな恋へジンフィーズ
- 揺
- クルスをつけた金の合鍵
- 千
- 今どきは浴衣縫はずに買ふばかり
- 山
- SDGsよるとさはると
- 織
ナオ
- チートデー好きなケーキを大皿に
- 昌子
- 長距離走でごばう抜きして
- 揺
- 韓国の女流作家の文学賞
- 織
- 岩盤浴に妻と寝転ぶ
- 山
- 着ぶくれの手と手重ねて月仰ぐ
- 揺
- もふもふとしたサモエドを連れ
- 千
ナウ
- 奥能登の今も泥中田や畑
- 山
- 若冲の描く野菜涅槃図
- 織
- 花分けて跳ねたる鯉の音を聞く
- 千
- 黄金週間心浮きたつ
- 揺
由雄白山 平林香織 上原揺子 原 昌子
二十韻「ななかまど」
佐藤徹心 捌
- 山近き駅や色づくななかまど
- 徹心
- 途切れとぎれに届く爽籟
- 了斎
- 新走盃並べ月待ちて
- 志保子
- ひいふうみいよひとつたりない
- あづさ
ウ
- 塗装してから組み立てるプラモデル
- 美友紀
- 軍事マニアが吐く白き息
- 斎
- 背を丸め深く被つた冬帽子
- 心
- 般若心経細筆で書く
- 志
- 方丈を畳めば車二台分
- さ
- 明日は明日また風が吹く
- 斎
ナオ
- 占ひで息子の受験校を決め
- 紀
- 青林檎まだ歯に固いまま
- 斎
- 絵筵の上で抱かれた月の晩
- 紀
- 灯蛾の焼かれるやうなこの恋
- 斎
- 滔々と流るる河を見つめゐて
- 志
- 片道切符だけの留学
- 紀
ナウ
- 米どころ越後の国は酒どころ
- さ
- そろそろ鴨の帰る頃ほひ
- 心
- もとほればいつもの径も花の径
- さ
- 御苑の隅に揺らすふらここ
- 志
鈴木了斎 北龍志保子 清水あづさ 奥野美友紀
二十韻「薩摩黒もん」
五郎丸照子 捌
- ぐい呑みは薩摩黒もん十三夜
- 照子
- 無事に田仕舞喉をきそえり
- あき子
- 藪虱こんなとこまでついてきて
- 洋子
- 犬近づけば鴉飛び立つ
- 敏枝
ウ
- 交差点小走りをして渡る人
- 鄭和
- 幼馴染に似たる女子
- 照
- 何時しかに目線絡まりスパークす
- あ
- アニメーションは日本の武器
- 洋
- 焼き芋を買うのはまたも塾帰り
- 敏
- 神の留守には縋る御仏
- 鄭
ナオ
- 思い切り世界見たいと友は旅
- 照
- 国防力で変わる条約
- あ
- 天秤で量る男の未来度を
- 洋
- 夏の浜辺で拾うセコハン
- 敏
- 月影の離婚届に蝉の殻
- 鄭
- またも口出す町の世話役
- 照
ナウ
- 息災は何より大事見守りて
- あ
- 艶良く紡ぐ春挽きの糸
- 洋
- めでたきは北の城址の花万朶
- 敏
- 役者揃いの弥生狂言
- 鄭
岩崎あき子 大島洋子 箭内敏枝 髙山鄭和