令和6年10月14日(月)

第二十三回猫蓑リモート

二十韻「残菊や」

鈴木千惠子 捌
残菊や茶席の侘びのもの言はず
 白山
連子の窓にのぞく繊月
 香織
虫時雨児はハモニカの曲和して
千惠子
横断歩道一列で行く
 揺子
羽越線右手にずつと日本海
   織
北の別れに雪のしんしん 
   山
ひとり飲む新たな恋へジンフィーズ
クルスをつけた金の合鍵
   千
今どきは浴衣縫はずに買ふばかり
 山
SDGsよるとさはると
   織
ナオ
チートデー好きなケーキを大皿に
昌子
長距離走でごばう抜きして
  揺
韓国の女流作家の文学賞
  織
岩盤浴に妻と寝転ぶ
  山
着ぶくれの手と手重ねて月仰ぐ
  揺
もふもふとしたサモエドを連れ
 千
ナウ
奥能登の今も泥中田や畑
   山
若冲の描く野菜涅槃図
   織
花分けて跳ねたる鯉の音を聞く
   千
黄金週間心浮きたつ
   揺
由雄白山 平林香織 上原揺子 原 昌子

二十韻「ななかまど」

佐藤徹心 捌
山近き駅や色づくななかまど
  徹心
途切れとぎれに届く爽籟
  了斎
新走盃並べ月待ちて 
 志保子
ひいふうみいよひとつたりない
 あづさ
塗装してから組み立てるプラモデル
美友紀
軍事マニアが吐く白き息
  斎
背を丸め深く被つた冬帽子
  心
般若心経細筆で書く
  志
方丈を畳めば車二台分
  さ
明日は明日また風が吹く 
  斎
ナオ
占ひで息子の受験校を決め
   紀
青林檎まだ歯に固いまま
   斎
絵筵の上で抱かれた月の晩
   紀
灯蛾の焼かれるやうなこの恋 
   斎
滔々と流るる河を見つめゐて
   志
片道切符だけの留学
   紀
ナウ
米どころ越後の国は酒どころ
    さ
そろそろ鴨の帰る頃ほひ
    心
もとほればいつもの径も花の径
    さ
御苑の隅に揺らすふらここ
    志
鈴木了斎 北龍志保子 清水あづさ 奥野美友紀

二十韻「薩摩黒もん」

五郎丸照子 捌
ぐい呑みは薩摩黒もん十三夜
 照子
無事に田仕舞喉をきそえり
あき子
藪虱こんなとこまでついてきて
洋子
犬近づけば鴉飛び立つ
 敏枝
交差点小走りをして渡る人
 鄭和
幼馴染に似たる女子
  照
何時しかに目線絡まりスパークす
アニメーションは日本の武器
 洋
焼き芋を買うのはまたも塾帰り
 敏
神の留守には縋る御仏
  鄭
ナオ
思い切り世界見たいと友は旅
  照
国防力で変わる条約
   あ
天秤で量る男の未来度を
   洋
夏の浜辺で拾うセコハン
   敏
月影の離婚届に蝉の殻
   鄭
またも口出す町の世話役
  照
ナウ
息災は何より大事見守りて
   あ
艶良く紡ぐ春挽きの糸
  洋
めでたきは北の城址の花万朶
  敏
役者揃いの弥生狂言
   鄭
岩崎あき子 大島洋子 箭内敏枝 髙山鄭和