リモート連句の場
第二十七回猫蓑リモート
月山の雪渓
本屋良子 捌
- 月山の雪渓見むとおきな径
- 良子
- 手びさしの先動く夏帽
- 純子
- 防音室ひとり静かに笛吹きて
- 白山
- 壁の品書きセピア色へと
- 純
- 木の香りあたりに満つる十三夜
- 山
- 鹿火屋守より話拡がる
- 純
ウ
- 新米の値段定まる闇市場
- 良
- 素知らぬふりで巴里へ高跳び
- 同
- 君を待つニケの足元夕間暮れ
- 純
- 般若の面を包む紫
- 山
- 二人して河豚鍋つつく四畳半
- 同
- 凍月を背にめぐる楼門
- 純
- 将軍の凱旋祝ふ村のひと
- 良
- AI操る科学戦争
- 山
- 天井に座敷童の笑ひ声
- 良
- 穴出づる蛇少女おどろく
- 同
- ゆつたりと鳶舞ふ下の花の宴
- 純
- 瑞穂の国の春のあけぼの
- 山
近藤純子 由雄白山
雨意兆す
由井 健 捌
- 紫陽花に一陣の風雨意兆す
- 健
- 長靴けつて子等水遊
- 揺子
- おもたせのだんご広げて賑やかに
- 敏枝
- 包装紙には猫のイラスト
- 由紀子
ウ
- 追ひかけて何処まで行かう月今宵
- 揺
- 団栗ころと落ちる恋仲
- 健
- 鶺鴒も君の魅力に叶ふまじ
- 由
- 独り楽しむ健脚の旅
- 枝
- 山門に入るを許さず般若湯
- 健
- 税は優遇丸儲けする
- 揺
ナオ
- 若きらは懐寒し気は豊か
- 枝
- 月下に急ぐ猟人の橇
- 由
- 最高峰極めし役を熱演し
- 揺
- ラストダンスはいつもいつしよに
- 健
- 老夫婦寄り添ふパリの石畳
- 由
- 眼鏡のあはぬ頭痛ときたま
- 枝
ナウ
- 沖合に白波立てる珊瑚礁
- 健
- さらりと巻いて春のスカーフ
- 揺
- 渋滞の列なぐさむる花吹雪
- 枝
- 先へ先へと向かふ蝶蝶
- 由
上原揺子 箭内敏枝 馬場由紀子