令和7年6月14日(土)

第二十七回猫蓑リモート

月山の雪渓

本屋良子 捌
月山の雪渓見むとおきな径
良子
手びさしの先動く夏帽
純子
防音室ひとり静かに笛吹きて
白山
壁の品書きセピア色へと
木の香りあたりに満つる十三夜
鹿火屋守より話拡がる
新米の値段定まる闇市場
素知らぬふりで巴里へ高跳び
君を待つニケの足元夕間暮れ
般若の面を包む紫
二人して河豚鍋つつく四畳半
凍月を背にめぐる楼門
将軍の凱旋祝ふ村のひと
AI操る科学戦争
天井に座敷童の笑ひ声
穴出づる蛇少女おどろく
ゆつたりと鳶舞ふ下の花の宴
瑞穂の国の春のあけぼの
近藤純子 由雄白山

雨意兆す

由井 健  捌
紫陽花に一陣の風雨意兆す
長靴けつて子等水遊
揺子
おもたせのだんご広げて賑やかに
敏枝
包装紙には猫のイラスト
由紀子
追ひかけて何処まで行かう月今宵
団栗ころと落ちる恋仲
鶺鴒も君の魅力に叶ふまじ
独り楽しむ健脚の旅
山門に入るを許さず般若湯
税は優遇丸儲けする
ナオ
若きらは懐寒し気は豊か
月下に急ぐ猟人の橇
最高峰極めし役を熱演し
ラストダンスはいつもいつしよに
老夫婦寄り添ふパリの石畳
眼鏡のあはぬ頭痛ときたま
ナウ
沖合に白波立てる珊瑚礁
さらりと巻いて春のスカーフ
渋滞の列なぐさむる花吹雪
先へ先へと向かふ蝶蝶
上原揺子 箭内敏枝 馬場由紀子