令和6年6月8日(土)

第二十一回猫簑リモート

半歌仙「ほうたる一つ」     

五郎丸照子 捌
水の音ほうたる一つまたひとつ
照子
植田ひろがる陶の山里
雅子
縁側の茶飲み話の賑やかに
由紀子
DIYはお手のものなり
あき子
秋風に勝れる月の渡るらん
志保子
衣桁に掛ける後の袷を
敏枝
角切の客であふれる奈良の駅
 雅
キスは大胆碧き眼の彼
 照
ドンファンの噓としりつつ恋の罠
 あ
御神籤ひけば凶と出てきて
 由
招き猫孫にせがまれ買うはめに
 敏
灯ほのと揺れる燈籠
 志
寒月下フジコヘミングひとり聴く
 照
タワーマンション齧る焼き芋
 雅
滔々と酒の勢い武勇伝
 志
親をまねして巣立鳥翔ぶ
 あ
伸びやかな枝の広がり花盛り
 由
野辺に遊べるうららかな午後
 敏
武井雅子 馬場由紀子 岩崎あき子 北龍志保子

半歌仙「雲の峰」

本屋良子 捌
連れもなき無銭旅行や雲の峰
白山
苗代苺口に食みつつ
良子
宿題の子らに時計は止まるらん
ゆう子
沈むソファに猫のくつろぐ
純子
あかあかと月と競へる聖火台
揺子
友と語らひ温め酒酌む
 健
裸婦像のモデルは我よ美術展
 揺
相合傘はパリの街角
 健
永遠の愛君平然と言ひ放つ    
 純
盤上の駒くるり逆転
 ゆ
鉄棒にウルトラCの技出たり
 揺
猟師の憩ふ岩頭の月
 健
初釜のちんちんと沸く利休庵
 山
秘密の内に進む談合
 ゆ
天秤を掲ぐるテミス見上げゐて
 純
早春の賦を軽くハミング
 良
修復の五重塔に花満ちる
 純
笑ひ転げる海女の白き歯
 健
由雄白山 夷藤ゆう子 近藤純子 上原揺子 由井 健