リモート連句の場
第二十一回猫簑リモート
半歌仙「ほうたる一つ」
五郎丸照子 捌
- 水の音ほうたる一つまたひとつ
- 照子
- 植田ひろがる陶の山里
- 雅子
- 縁側の茶飲み話の賑やかに
- 由紀子
- DIYはお手のものなり
- あき子
- 秋風に勝れる月の渡るらん
- 志保子
- 衣桁に掛ける後の袷を
- 敏枝
ウ
- 角切の客であふれる奈良の駅
- 雅
- キスは大胆碧き眼の彼
- 照
- ドンファンの噓としりつつ恋の罠
- あ
- 御神籤ひけば凶と出てきて
- 由
- 招き猫孫にせがまれ買うはめに
- 敏
- 灯ほのと揺れる燈籠
- 志
- 寒月下フジコヘミングひとり聴く
- 照
- タワーマンション齧る焼き芋
- 雅
- 滔々と酒の勢い武勇伝
- 志
- 親をまねして巣立鳥翔ぶ
- あ
- 伸びやかな枝の広がり花盛り
- 由
- 野辺に遊べるうららかな午後
- 敏
武井雅子 馬場由紀子 岩崎あき子 北龍志保子
半歌仙「雲の峰」
本屋良子 捌
- 連れもなき無銭旅行や雲の峰
- 白山
- 苗代苺口に食みつつ
- 良子
- 宿題の子らに時計は止まるらん
- ゆう子
- 沈むソファに猫のくつろぐ
- 純子
- あかあかと月と競へる聖火台
- 揺子
- 友と語らひ温め酒酌む
- 健
ウ
- 裸婦像のモデルは我よ美術展
- 揺
- 相合傘はパリの街角
- 健
- 永遠の愛君平然と言ひ放つ
- 純
- 盤上の駒くるり逆転
- ゆ
- 鉄棒にウルトラCの技出たり
- 揺
- 猟師の憩ふ岩頭の月
- 健
- 初釜のちんちんと沸く利休庵
- 山
- 秘密の内に進む談合
- ゆ
- 天秤を掲ぐるテミス見上げゐて
- 純
- 早春の賦を軽くハミング
- 良
- 修復の五重塔に花満ちる
- 純
- 笑ひ転げる海女の白き歯
- 健
由雄白山 夷藤ゆう子 近藤純子 上原揺子 由井 健